大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和38(あ)2225 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人佐藤末野の上告趣意一について。

所論は、証券取引法五八条一号にいわゆる「不正の手段」の意義、内容は漠然と

しているので、同条号は憲法三一条に違反する違憲無効の法規であると主張する。

しかしながら、同条号にいう「不正の手段」とは、有価証券の取引に限定して、

それに関し、社会通念上不正と認められる一切の手段をいうのであつて、文理上そ

の意味は明確であり、それ自体において、犯罪の構成要件を明らかにしていると認

められる(第一審判決の確定した事実によれば、本件は、被告人が、無価値の株券

に偽装の株価をつけるため、証券会社の外務員二名と共謀の上、同人らをして、判

示会社の株式につき、権利の移転を目的としない仮装の売買を行わせたというので

あり、かような行為が、証券取引法五八条一号にいわゆる「不正の手段」に該当す

ることは明白である)。それゆえ、右違憲の主張は、前提を欠き適法な上告理由に

当らない。

その余の論旨は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、刑訴法四〇五条の

上告理由に当らない。

同二ないし四について。

所論は、事実誤認、単なる訴訟法違反および量刑不当の主張であつて、刑訴法四

〇五条の上告理由に当らない。

また、記録を調べても、同法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主

文のとおり決定する。

昭和四〇年五月二五日

- 1 -

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!